ジョニエル-G 大町 大会レポート by ジャンキー稲垣
6/13/10 会場:長野県大町市 爺ガ岳スキー場 特設会場 天候:晴/薄曇り/やや蒸す ・COMPピーク時 24.8°
AA優勝:#1- 小池田 猛
2010 R4 ジョニエル-G大町 大会レポート !!
06.13.10 ジャンキー稲垣が、JNCC全戦取材を基にXC最前線を斬ります!
初晴天、とまではいかないにせよ過ごしやすい初夏のリゾート地ではじまったRd.4。前戦の斑尾に続いてスキー場での開催となった。

土質は小池田曰く「これならモトクロスできますよ。 ジャンプとかいらないよ、これだけ広くてこんないい土質、アメリカのナショナルを思い出させますね。自然にできていくギャップがいい感じに体力を追い込んでいく。最高です」といわせしめたほど。 それもそのはず、ウッドチップはまいてあるし、モーターサイクルが普段走る場所ではないので「真にフカフカ」なのである。
レイアウトとしては、昨年のロックンロールリバーを延長、ロックンロールリバー源流と改名された下りの激ガレ場に、延々続くガレ場のヒルクライムであるガレクライムなど多彩なセクションに、広大なフィールドをかけあわせたもの。スタートのふもとから一気にかけ上がっていく大ストレートは、まさにアメリカンである。
さて、COMPクラスでここを先にあがっていったのは、鈴木健二。スタートから絶妙にフロントを浮かせつつ最高のトラクションを得てトップに躍り出る。ライバル小池田は、エンジンがかからず若干出遅れるという展開。だが、そう思うのもつかの間、小池田はすぐさまおいついて鈴木をとらえ、斑尾を思い起こさせる二人のバトルがはじまるかのように思えた。
しかし、鈴木のマシンはロックンロールリバー源流の餌食となってしまい、フロントのディスクを曲げてしまう。ブレーキが効かないまでもガンガン攻め続け、ピットインしてホイール交換、鬼の追い上げを見せたのだが、本人も「ここまでやったらいけない」とわかっていた全開ラインを超えてYZ250のエンジンは焼き付いてしまった。運良くかかったはいいが、時は既に遅し。
序盤に驚きをもって迎えられたのは実は鈴木だけではない。トラブルに見舞われた鈴木がおい下がったこともあるが、総合2番手に伏兵、松本康が浮上。 松本は、2004年まで全日本モトクロスIA1/2を走っていたライダーで、2005年からはモタードに転向、最上級クラスmoto1を制している超大物ライダーである。 「モタードがメインなことに代わりはないですが、ライダーとしての幅を広げたい」という松本。さすがに体力が限界へ、7番手まで下げてしまったのだが健闘といって差し支えないだろう。
「モトクロスでは培えない、多様な対応能力はモタードで身につけた自信があるんです」と言う。山形は参戦できないとのことだが、富山・広島は参戦予定。新進気鋭、期待のライダーである。
だが、やはりこの男、出口隼飛はこのラウンドでもやはり浮上してきた。 正直ここまでの3ラウンドはモトクロスライダー有利なラウンドだけに、このガレ場がかなり難所の大町ではきついのではないかと見られていた。本人もそんなことを気にして「もしかして、完走もできないかも、と思って今日は250なんですよ」とバイクを変えてきたという。本人の不安も裏切り、結果は苦手といっていたガレ場もなんなくクリア。
のりにのった小池田にはかなわず1ラップされてしまうのだが、ちょうどラップ時に小池田の後ろを走る機会に恵まれたようだ。 小池田はこのときのことを「スピードだけは同等ですね。まぁさすがに負けることはないですが、かなりのものです。 ただ、ミスしたときにすぐに差がついてしまう。若いんだからもう少しついてこなくちゃ!」と評しているのだが、蓋をあけてみるとこの周回 出口は大会のファステストラップをマーク。 「スタート順がAクラスでも200番台なのでかなり不利なんです、だからこそ勉強になるところもある。」と言う出口だが、AAになったとたんその足枷は取り払われスタートから勝負を挑むことができる。 早くも来年が楽しみだ。
(前車に襲いかかる 小池田!)
レースは、実際のところ小池田のぶっちぎりに終わった今回。しかし、星野はもとより星野と同じくお台場エンデューロクロスで優勝した大川原が、ここにきて4位まで浮上。もともと役者の多かった2010年、個性あふれるキャラクターが増加中、このシーズンは見逃せない戦いになる!!
2010 R4 ジョニエル-G大町 大会レポート追記 !!
06.13.10 JNCCの星野が どうしても書きたい一言を!
初FUN-GPでは昨年 小池田とどっちが凄いか解らないと評した、「怪鳥 DR-800S」を駆る 川瀬崇詠 さんがまた参戦してくれた。今年はマシントラブルだったらしく昨年より順位を落としてしまったが、それでも MINIガレクライムが発生したあのコースを、200kgを超す怪鳥で3周も走ったなんて信じられない! JNCCには全国から猛者が集まってくれるが、この人はその中でも白眉だろう。
COMP-GPでは AA #10- 大川原の4位に本当に驚かされた。 それも 小池田猛 と 鈴木健二 のワールドクラスが上位にいての4位なんて、金星も金星、大金星だ! 大川原は2006年のAクラスチャンピオンとしてAA昇格を果たしたのだが、昇格AAにとってAAシングルの壁はいかに厚く強固なものか、そのほとんどが大きな挫折感を味わい低迷する事が多いが、大川原はそんな中から懸命にのし上がってきた。それも単にシングルに食込んだだけではなく、4位というからにはもう本当のトップライダーとして認めない訳にはいかないだろう。 大物がひしめくAAシングルに未だネームバリューの乏しい大川原が食込んできた事を歓迎したいし、また大川原の快挙が他の発展途上ライダーに及ぼす素晴らしい影響に期待したい!
AAでの快挙と言えば、モタードの世界では超大物の#55-ヤッシーこと 松本康 が凄かった!
中盤まで2位3位を走り誰の目にもそのまま行ってしまうのではないか?という期待と混乱を生じさせ ただ者ではないという存在感をこのJNCCデビュー戦で示したことは、流石と言うしか他は無い。
中盤から熱中症になり何度も転倒を重ねたが、それでも勝負を捨てる事無く7位に入賞した事は正に脅威と言って過言ではなく、AAシングルにとって非常に大きな存在となったことは確実だろう。
(*彼の熱中症は後に判明した事であり、レース中に判断出来た場合は絶対にレースを中断すべきです。熱中症と自覚がありながらの走行は愚かであり、また深刻なリスクを伴います。)
そしてもう1人忘れてならないのが AA #25- 平林哲治だ。 平林はJNCCを全戦回っているライダーではないのでレベルアップが顕著なJNCCでどこまで戦えるかと見ていたら、持ち味の切れ味鋭いアグレッシブな走りは健在で、また久しぶりの大舞台に飲まれる事無く落ち着いた素晴らしいレースを創っていった。 AA 6位入賞は自身の最高位タイとなったが、けっして潤沢ではない現在のレーシングライフからしてみれば大快挙と言って過言ではなく、全国に自身の存在感を鮮やかに示して見せた! またヤッシーと共にの開催県ライダーとしての活躍は、多くの長野県民観客の面目を保ち希望を抱かせてくれたと思う。
さてCOMPの猛者と言えば A #134- 安喰好ニ だ。 XR600使いとして有名なアグイさんだが、昨年のAAGP 11位、今年のサザン大阪 41位、BRW斑尾 27位、そして今回ガレだらけの ジョニエル-G ではなんと 13位(総合29位)と、よくあの重くサスストロークの充分でない名車で活躍出来るものだ。10年以上は遥かに新しい現在のレーサーと勝負するんだから様々なハンディがあるはずだけど、それを口にしないで結果で示す。男子たる者こういった人には年齢を問わず憧れてしまう。
(*写真は聴感音量測定規制のイメージです)
そして、最後にどうしても紹介したいライダーが A #02- 中島幸広 だ。
中島といえば東北では中島鉄騎馬隊の隊長として知らぬ者はいない程の者で、AAと同格の存在感を持つベテランライダーである。 そして、この中島になんと「聴感音量測定規制」委員3名の内2名の委員から「音量規制抵触の疑い有り!」というイエローカードが出されてしまったのだ。 他にAAの450を駆るライダーにもイエローカードが出されたのだが、私も含めて3人の聴感音量測定委員が改めて集計ポイント後の立ち上がりで聴感測定を行った結果、嫌疑をかけられたAAライダーの方は450のせいか? 立ち上りでも全開にする時としない時があるらしく何とも判断が難しい状況であった。疑わしくは罰せずの方針で断定出来なければペナルティを課す訳にはいかないが、一方の中島は常に全開キープで立上がるので明らかに「ややうるさい!」状態だった。
しかしこのうるささは、違法改造や抜けの良さでパワーアップを図ったSPLサイレンサーの物とは異なりややうるさすぎるという程度だったので、どうしようか? 「聴感音量測定規制」が始まってから4戦目でいよいよペナルティ実施となるか? と思ったとたん、中島の現在の順位が無性に気になってきた。そして慌てて順位を確認すると、なんと 出口に続いて2位を独走中との事。 これには本当に驚き、AA昇格の半券を握った( AA昇格条件の一つとして、2位以上に入賞しなくてはならないという事項がある。)ような重大局面を知った3人の委員の間では「うるさい音量も悪質というわけではないのでここは目を瞑ろうか?」という空気が流れたが、また同時にそれはパンドラの箱に陥りそうになっていることだとも気付かされた。
この「聴感音量測定規制」3人委員制というのはあくまでも客観的に公平に行う為のものであり、知合いだから、スターライダーだから、また上位を走っているからという理由で、その公平性を曲げる事は絶対にあってはならないのです。 皮肉な事にこの中島の活躍を知って、結果的にはかえって黙認する事は出来なくなってしまいました。ペナルティを課せば当然順位が落ちるであろう 51才/中島 の事を考えると誰もが重い気持ちになりましたが、委員としては公な責任を全うしなければならなかったのです。
しかしちょっと暗くなりそうなこの「聴感音量測定規制」初ペナルティには、本当に神様の采配としかいえないような素晴らしいストーリーのドラマが創られていました。
ラスト2周になった直後「2分間停止」を強いられた中島は戸惑ってはいたもののスポーツマンらしく素直に受入れ、その結果3位まで順位を落としました。 しかし中島は腐る事無く先行した現在売出し中のヤングガン #253- 馬淵崇之 を追い、ラスト1周では二人共にプライドを賭けた抜き抜かれつのデッドヒートを展開し、ゴール前のストレートへはアクセル全開の サイド by サイドで突入し、ジャックナイフブレーキングしてまでも勝負に賭けた馬淵を、鼻の差で中島が押え制しました。
私は運良くこのシーンを見る幸運に恵まれたのですが、何が素晴らしかったかと言えばゴール直後に 51才/中島 と 24才/馬淵 がどちらからともなく肩を抱き合いお互いの健闘を讃え合った姿であり、この二人は会話こそ交わしていないものの、バトルを通じて世代を超えた貴重で得難い交流を果たせたのだと思いました。 余談ですがこんな感動に触れられると、時には辛いことも有るレース運営であっても大きなパワーをもらったような気がして、「 続けて来て良かった!」という思いで救われます。 中島さん、馬淵くん、素晴らしい走りを本当にありがとうございました。
尚 その人柄とレースに取組む真摯な姿勢により、多くのライダーに慕われている中島の純正サイレンサーは、その後の調べで単に経年変化によるグラスウールのへたりだと解りました。 このように純正でも経年変化によっては今回のようにペナルティの対象になることがあるので、ライダーの皆さんは点検を怠らぬよう注意をして下さい。
ところで美人が怒ると一番怖いと言いますが、ペナルティを知った中島夫人は怖かった! この時ばかりは強面隊長の中島さんよりよっぽど迫力がありました。 結果良ければ全て良しでこんな軽口も言えるのですが、親身になってくれるサポーターはありがたいですね!
今年はAA上位の実力を有する出口君の台頭で「Aクラス2位以上の入賞」と言うAA昇格条件は非常に厳しい関門となっています。 今回「聴感音量測定規制」初ペナルティを乗越え、見事この条件をクリアしAA昇格の半券を手にした中島さんには是非昇格を果たしていただき、東北の顔としてこれからも多くのライダーの模範となっていただきたいと願っています。
2010 R4 ジョニエル-G大町 おまけ画像 !!
06.13.10 事務局長撮影
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