R3- ジョニエル-G 大会レポート (全画像クリックで拡大)
by 星野正美
6/14/09 会場:爺ケ岳スキー場特設コース 天候:曇り・COMPピーク時 20.1° AA優勝:#1- 小池田 猛
Prelude
第3戦目にしてやっと好天に恵まれたジョニエル-G 信越大会。大信州真っ只中、北アルプスの爺が岳スキー場(G)を使ったコースは真の特設コースと言うか、本格的なエンデューロは十数年前に1回行なっただけのほぼバージンコース。誰も練習は行なっておらず、そしてコースは柔らかい。JNCCの地元長野には多くのスキー場が存在するが、ここ(G)に決定した理由は大きく4つあり、簡単に説明しましょう。
1)どんなレベルのライダーでも気持ちよく全開走行が出来る、MCクロスカントリーに最適で希少な斜度12度の大斜面を有していた事。
2)雨天の開催でもコンデションの変化が少なく、またソフトタッチのウッドチップ化を大斜面に施してあった事。
3)過去に行なわれたスキー場クロスカントリーの多くでは、ゲレンデを痛めないよう固く小砂利で敷き詰められた作業道を上り、ゲレンデは端を下るというパターンが一般的でした。しかし(G)では補修の簡単なウッドチップを多用していることと御好意により、自然のままのゲレンデを縦横無尽に使えた事。
4)そして最後は何と言っても、このジョニエル-G 最大のアクセントになった「ロックンロールリバー」を有していた事です。
(以下、臨場感を出すために丁寧語は使いません)
このような好条件がライダーに伝わったわけではないだろうが、最近希少となったスキー場への期待感とクロスカントリー人気の相乗効果か? エントリーは340台を越え、初夏の美しいリゾート地は全国からの出場者で盛上っていった。JNCCはクロスカントリーの普及と会場確保の為に社会へのコミュニュケーションを図っているが、地元での初開催となる今大会に向けては「自然環境に調和したMCクロス感カントリー」を特に強く表に打出し、その成果は早くも新聞やFM放送などで曲げられる事なく紹介された、という形で現れた。そして実際に普段より観客はかなり多くそれも年配者がかなり来てくれたことは、いかに社会とのコミュニュケーションが大切であるかということの証明だったと思う。JNCCはこれからも自ら社会に働きかけ、その支持の下に開催をしていかなければと思っています。
「ライダー主体のクロスカントリーレース」をコンセプトにするJNCCは、ライダーがより納得出来るレースを目指し、この度 選手会の発足を提案しました。当初の目的はコース安全性のライダー視線からの確認や、GNCC参戦ライダーが持ち帰ってきたGNCCスタイルのコースレイアウト導入などですが、まずは早期着手が肝要と、今回 ユウタロウ と ヨッシーのAAライダーにコース視察を要請し行なっていただきました。この視察は極力公平を失わないようにと使用車両はJNCCが指定するFUNバイクや子供用を用い、また周回数も原則として1周としました。その結果今回は特に改正要請はありませんでしたが、今後もこの形での視察は続けていきますので、出場ライダーの皆さんはどうぞご了承下さい。
FUN-GP
今大会からFUN-GPも正式に一斉スタートとなったジョニエル-G 。ライダーに戸惑いはと懸念してみたものの、どうやら杞憂のようでした。スタートからどのクラスのライダーも、迷う事なく広大な大斜面をワイドオープン! 予想はしていたこととはいえ大斜面は本当に気持ちが良いらしく、体が踊っているように感じられた。

しかしメリハリの利いた今回コースは気持ちが良いだけではなく、結果的にFUNクラスにもややハードな設定が成された。それは最頂部の上りでコース設営や視察時には全く難所ではなかったのだが、大方のライダーが3周目となる頃には総勢170台のライダーがゲレンデ一面に埋もれていた拳より大きい岩を掘起し、徐々に難セクションへと変貌していった。方針として、どうしても不公平感が残るコースショートカットは極力行なわないとしているJNCCだが、SAライダーも渋滞に巻き込まれるようになった1時間経過の頃、渋滞の順番どうりにスタートするよう配慮をしながらショートカットを決行。渋滞で留まっていた70台ほどのライダーがレース復帰となった。
結果論になるが、この渋滞がピークに達していた頃でも難無くこの渋滞をパスするライダーもいたことから「最後までショートカットをしてほしくなかった。」という進言もあったが(SA以外のライダーです)、FUN-GPにおいては下位クラスのライダーでも何とか走りきれるというコースを条件としているので、今回はやはりショートカットは適切だったと認識している。 尚(G)での来期開催はほぼ決定しているが、FUN-GPでは全長を短縮しないように工夫しながら、今回の渋滞セクションは使用しない方針でいきます。

FUN-GPを制したライダーは何とBクラス#-136 飯野実。それもSAの猛者8人を下しての勝利だから快挙と言って良いだろう。それに飯野のマシンはほとんどドノーマルのようなDR-250だから恐れ入る。あの難所になったガレ場を、大斜面を、そしてロックンロールリバーをDR-250が快走し170台の頂点に立ったなんて、今だに信じられない。
COMP-GP

社会とのコミュニュケーションをテーマに活動している事が功を奏したか? 今回は開催地となる大町市から大会後援を賜り、牛越徹 市長が COMP-GPのスターターをかって出て下さいました。時は正午、この頃になると観客の入りはピークとなり、170台の出場者と合わせて開放的なスタート地点の雰囲気と どこからでも仕掛けられそうな広いコースレイアウトは、まるでAMAナショナルMXを観ているよう。



0時12分、牛越市長の振落した日章旗を合図にAAクラスがスタート。キックスタートで有利なGASGAS 石井らが飛出すが、パワーで有利な450のまちゃとイシゲが石井をパスしトップを奪うと、4コナーから続くウネリのある直線では百戦錬磨のイシゲがウネリの無い大外からまちゃを交わした。コースは一旦中腹からスタート付近まで下って戻ってくるのだが、イシゲの覇気溢れるトップ走行には会場が沸いた! あまりレース通で無い人は 3時間の長丁場ならスタート時のポジションなんか意味がないと思うかもしれないが、それは大きな間違いだ。レース全体のスピードを創るのはスタート時であり、また単なる好成績ではなく優勝狙いのライダーならこのスタート後の 1・2周はしっかり飛ばして、何よりも前車がいないという有利な状況を自ら創り出さなくてはならないのだ。2位 にはに不利なセルスタートにより今回も出遅れた小池田が早くも上がり、3位 まちゃ、4位 石井と続いた。

1周目観客が固唾を呑み見つめる中、FUN-GPで難所と化した最頂部と二つのウッズ、そしてFUN-GPでは使用されなかった超ガレセクションのロックンロールリバー上流部をパスし戻ってきたのはチャンプ小池田猛。それもこの時点で2位以下をブッチ切っての快走だ! 昨年のエルニド本栖ではガレ場で転倒を繰返し余裕を失い優勝を逃したので、小池田のガレの評価は高くなく、このジョニエル-G では常勝の座から引きずり下ろせるかもと目論んでいたAAもいただろうが、この快走はどういったことなんだろうか? たまたま、それとも?

序盤のドラマは2周目に起った。1周目の展開からして小池田が早くも独走状態を広げるかと思われたが、集計CPに何とまちゃがその差を30m程に詰めて戻ってくれば、1 / 3 周後に姿を現した時には10mに迫った。小池田はさして慌てている風には見えなかったが、それでもまちゃを気にして何度も振返りながら走行。このヒートは丁度ピット付近で行なわれたものだから、観客と共に会場は大いに沸き、その多くはまちゃの奇跡の逆転を夢見たかもしれない。なんて言ったって昨年までは雲の上の存在でかすりもしなかった小池田を追い詰めているのだから、会場のボルテージは盛上がって当然だろう。
しかしやはり小池田には余裕があったのだろう、まちゃの追上げ劇もこれまででその後は徐々にその差を広げられてしまった。しかし、それでもまちゃはGNCC以来確実に速くなってきた。小池田に遅れはとるもののこの時点で他のAAをブッチギり、石井の壁をどうしても越えられなかったライダーから大きく飛躍したようだ。昨年までは石井を追いGNCCからは小池田を追うようになってからは、コースによっては意識をしないうちに石井の壁を越えてしまったのかもしれない。

今大会はクロスカントリーの様々な要素が含まれたコースとなり、一件ダイナミックなパワー勝負に見えるものの、実際には最頂部やロックンロールリバー上流部を転倒せずにいかにやり過ごすかが勝負の分かれ目になったようだ。驚かされたのが小池田の安定性の高さで、昨年のエルニドとはもう全くの別人。GNCC参戦の頃は戸惑っていたBMW-G450Xをスムースに操り、生粋エンデューロライダーのお株を奪うような見事なライディングを魅せた。

1時間経過、FUN-GPで難所となった最頂部は当然のごとく更に難易度を増し、この頃からCOMP-GPでも渋滞が出始まった。AAクラスでも渋滞に引っかかると大きく順位を落とす展開が見られ、後半は全く予断が示せなくなってしまった。しかし小池田やまちゃ、そしてAクラスの森などごく少数のライダーはいかなる状況になってもこのセクションを安定してこなし、当然大きく成績に結びつけていった。


この頃 目を見張ったのは AA-#10 鈴木昭弘だ。今期JNCC初出場となる昭弘は初めてのキックスタートに戸惑い失敗! どん尻からのスタートとなったが、初開催で誰もがイコールコンデションとなるこの(G)のコースを攻めに攻め、この時点で5位まで順位を上げるという怒濤の進撃を魅せた。またレジェンド石井は時々難コースにてこずるものの、危なげなく3位をキープした。1・2戦はシーズンオフでの怪我で調子を崩していたが、ここにきて本来の走りが戻ってきたようだ。



そして惜しかったのがユウタロウとイシゲで、このジョニエル-G ならではのトップ争いを期待された2人は揃ってFディスクのローターをヒットさせてしまい、その交換のため順位を大き落としてしまった。また澤木も、普段では考えられないヒューエルコックのトラブルで順位を落としていった。
2時間経過頃、レースも佳境へ入る非常な重要なこの時点に、なんと大人気の 順位 と 前者までの時間差 表示器が故障! コースアウトした車両のリアタイヤに接続コードが絡まり断線してしまったのだ。 この表示システムは使用始めから2戦目とはいえ、その効果と信頼性によりライダーには既に不可欠となっていた。それがいきなり不能となってしまったのだから各ピットは大騒ぎ、また従来のサインボードが並ぶ事になってしまった。


AA昇格を賭けて注目されるAクラス。3戦目ともなるとその候補者が明確になり3つのシートを巡る争いも激化してきた。そんな中 #1 森耕輔はあらゆるセクションをそつのないライディングで走破を続け 序盤からクラスを独走、そしてAAを含む総合でもかなりの上位を走るという走りを見せている。また R2-ビッグディアで地元ライダーと共に活躍した #3石田信孝は序盤出遅れるものの3周目には3位に上がり、中盤にはライバルの #179鍋倉敏秀を交わし2位となり、それからも安定した軽快なライディングで森を追った。

終盤に入り最頂部は更に荒れ、いかにここをやり過ごすかがレースの鍵となってきた。これに関連し今大会でライダーが悩みまた強い関心を持ったのがタイヤの空気圧であった。ある者は高速時における石等のヒットからパンクを避けたいと空気圧を高めにし、また一方でガレでの勝負に賭けようと空気圧を下げるライダーもいた。結果的には0.5以下の空気圧が良かったようで、0.5を境に最頂部でのタイヤグリップ性に大きな差が現れたとのことだった。AAライダーの中には通常使用しているムースからチューブに変更し空気圧を下げるライダー等もいたかと思えば、FIN-GPに出場したライダーの中には1.0kg前後の空気圧で出場したライダーが数多くいた。一見すると登れる登れないだけの差は単に技量の差にしか見えないが、今回は空気圧がその重要な鍵を握っていた事は間違いなかったであろう。出場ライダーは貴重な経験を生かしていただきたい。
(現在JNCC-HPで公開中の YouTubu ジョニエル-G FUNGPにおいて、#139の古い非力な XR200が最頂部の渋滞の中唯一トコトコとクリアして行ったのは、ライダーの技量が高いことは勿論だが、また低く適正に調整された空気圧によるものだったに違いない~ 必見!)

JNCC初大会となるジョニエル-G を制したのは小池田猛。性格的に瞬発力ではピュアレーサーにやや劣る BMW-G450X のポテンシャルを見事に引き出し、全員ラップという派手なパフォーマンスでその可能性を証明して見せた。苦手と思われていたガレ場でもスムースで安定性のあるライディングを披露し、他のセクションは言うに及ばなかった。 そして 2位には まちゃ。後半かなりタレてしまったが、それでも前半に創った高いレーススピードが全体に及ぼす好影響により、堂々単独 2位を獲得した。昨年は最高で4位だったまちゃがパンゲアに続いて早くも2位を2度獲得したことは、今期における まちゃ大飛躍の証明であり、いかにGNCC参戦によって触発されたかが解る。またライダーにとって最も大切な要素はハートだということも、合わせて証明出来たであろう。

3位は石井正美。驚異の追上げにより3位でゴールするに見えた昭弘をゴール前 500mのロックンロールリバー上流部で強引に抜き、HOTTESTアワードを物にした。特に印象的だったのは石井の終盤のライディングで、軽く弾んで凄い切れ味だった! その姿を石井を知らない者が見れば20代の活きのいいライダーに映ったかもしれないが、柔らかい斜面に発生したバンクにおいて、アールの変化に合わせてリーン角を瞬時に変えていくその神業のような切れ味は、単に若いライダーのそれとは全く違っていた。年齢的に疲労感が見えるレースもあるが、この時ばかりは石井正美ブランドの真髄を見た想いがした。本当に凄いライダーだ!

そしてその石井さえも押さえて、見事総合3位入りを果たしたのが A#01 森耕輔だ。森はトライアルのIAライダーであり、そのテクニックがロックンロールリバー上流部等で功を奏しこの快挙となった。何と言ったってAAトップランカーまでも下しての総合3位は称賛してもし尽くせられないものであり、森にとっては大きな自信と生涯の金字塔になるであろう。またトライアル出身ライダーの活躍は全世界でも見受けられることから、AA昇格を確定的にした森がこの勝利でどう変貌するか? 大いに期待したい!


最後にこのレポートで紹介したいのは AA#10 鈴木昭弘だ。レースで何が面白いって、それは優勝争いとか大番狂わせとか色々あるが、逆に何がつまらないかといったらそれはゼッケンどうりのガチガチな順当結果であろう。そのつまらなさをぶっ飛ばす期待に応えてくれるのが、この昭弘だ。AAライダーだからといって全てが全戦出場が出来るわけではない。昭弘もその1人だが、かといって他のライダーに引け目を感じているわけではなく勝負はいつだって真剣勝負。昭弘の頭の中にはランキングとか順当だとかが無いがごときに、闘志溢れた熱い走りを見せてくれる。寡黙な雰囲気と、またレース中の開けっぷりの良いアタリの強さから口の悪い者は「 全開 組長 」と言う者がいるが、根は心優しい家族想いのお父さんだ。本当に昭弘が出場するレースは面白く、今回のように今年初JNCCで AA- 4位入賞などをやってのけてくれる。(それも最後尾から)
よくかなりの技量のライダーからも「小池田にはどうしたってかなわない」とか「石井は別格なので仕方がない」とか弱音を聞く事があるが、そういうライダーは昭弘の闘志を見習ってほしい。 昭弘なら言わないまでも、「やってみなくちゃ解らない」、「当ってみなくちゃ解らない」、とニヤリとするかもしれない。 まちゃの大飛躍もハートから、そしてJNCC数々の名勝負もその引き立て役は強いハートを持ったライダー達だった。 澤木のケンジを下しての初優勝、ヤスオミのAクラス総合優勝、そしてイシゲの小池田を下しての初優勝など、感動のレースでは前向きでどんな相手であろうと怯まないというハートがあったからこそドラマになったのだと思う。
JNCCでは恒例となったった、昭弘の娘 夢ちゃんを乗せてのフィニッシャーズロードは周囲でとても楽しみにしているが、こんな優しいライダーが一方では熱いハートを持ってレースに挑み、掻き回してくれるのだからクロスカントリーは面白い。これからも昭弘には、続くヤングライダーのお手本として益々頑張ってもらいたい。

多くの方々のご支援を賜りこうして初開催 ジョニエル-G は無事終了いたしましたが、既に来期の開催がほぼ決定いたしました。JNCCは来期も更なるパワーアップを図り、"自然との調和を図った ライダー主体のクロスカントリー" を行ないます。 来期は今回予定されながらも飯田でのインフルエンザ発症のため取材がかなわなかったSBC信越放送のTV取材が決まっており、より広いメディアで紹介されると思います。また来期は500台の出場制限となる予定ですが、その格に見合う運営を、地元大町市と共にしっかりやらせていただきたいと願っています。 ジョニエル-G 信越大会、開催側から見ても良い大会でした。本当にありがとうございます。


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