R2- ビッグディア 大会レポート (全画像クリックで拡大)
by 星野正美
5/17/09 テージャスランチ特設コース 天候:曇り後雨・COMPピーク時 19.8° AA優勝:#5- 鈴木 健二
今年で3年目となるビッグディア広島、今回はあいにく同地区で開催されたMFJ全日本選手権とバッティングしてしまったが、それでもテージャスランチ10年の記録を塗替える210台が集結しパンゲアの熱気を帯びての開催となった。
今回のコースレイアウトはAAライダーでもある 5D 前田啓介氏が行い、初めての逆回りを軸に、迂回コースを併設したショーアップ的なボーナスセクションや、リズム感あるレイアウト等を盛り込んだ意欲的な造りとなった。
第一レースのFUN-GPは乾ききったコースに恵みの小雨が降り、正に絶好のコンデション。COMP-GP程の難易度はないにせよ、それでもダイナミックで多種多様なセクションを有するこの比類無いテージャスの魅力を、遠征ライダーもしっかり味わえただろう。
ここで驚いたのはDR800が参戦していた事。パンゲアのフラットコースなら解るが、この本格的なテージャスで、それも攻めのライディングを魅せられては「恐れ入りました!」と言うしかない。
また走り以外で印象的だったのはCクラスで2位入賞を果たした大津一剛選手だ。大津選手はISDE日本チームの監督として知られているが、精魂尽きたフィニッシャーズロードで転倒すると大勢のISDE参戦ライダーが飛んできて助け起こす一幕があり、やはり監督ともなると選手からの信望が厚いんだな~と感心していると今度は足蹴りが飛んできたりして、いやはや何とも愛すべき大津監督であった。
1年ぶりとなる鈴木健二の復帰もあり、日本中のエンデューロファンが注目するCOMP-GPはスタート直前から大雨の降続ける展開となり、それでも2時間までは緊張感に包まれ、そして終盤は一気にサバイバルと様変わりしたレースとなった。
スタートは5番手だったケンジだったが、先を行く殆どのライダーがやや下り坂の第1コーナーをオーバーランする中しっかり的確にクリッピングポイントを捉えると、立ち上がりでは石井正美と競り合いながら一気にトップ争いまで駒を進めた。
一方注目のチャンプ小池田もセルスタートによる遅れはあるものの、1コーナーを冷静にパスし6番手に着けると、追上げを開始しスピードがグングン乗る序盤の広大な牧草地を飛ばしに飛ばしケンジを追った。
集計ポイントまで1/3周となるリードを1ラップ目とし、2周目ラップはケンジ(14:44)小池田が(14:50)と僅差で続き、二人からは遅れるものの石井が(15:29)で順当に 3位につけ、まちゃもパンゲアの勢いを持ち込んだように石井のラップを上回る早さで石井に肉薄して行った。そして まちゃに続いたのはなんとユウタロウ、確か今回もスタートでは出遅れて最後尾あたりにいたはずだが、2周で 5位まで上げてきたのには驚かされた(15:55)。そしてSUGO-2デイズで優勝を果たし注目されているイシゲは11位と出遅れたが、雨のギャロップで全員ラップという派手な復活劇を演じた兄イケチューは 7位につけ好調さを窺わせた。
序盤からかなりスリーッピー度を増してきているがこの頃はまだ通常のレーシングコンデションが保たれ、トップ2台は群を抜く安定度とスピードで3位以下を大きく離しながら、それもテール&ノーズで神経戦が続いた。時々順位を入れ替えながら1時間経過となる5周目のチェックポイントに戻ってきたのは小池田猛、しかしケンジも離れずにスリリングで他を圧倒するようなスリリングな戦いは中盤まで続いた。この間の競合いがどんなものだったかは 6周までケンジが 1・2・4 ラップを、小池田が 3・5・6 ラップをと奪い合ったことでも解るだろう。
2時間にさしかかる頃になってコースは急変! 今回このコースはテージャスを知り尽くした前田氏が雨天を想定して大会直前大幅に手を入れたものだったが(そのためプログラムのコース図とはだいぶ変わりました)、通常のテージャスにはない出場台数の多さと、2時間降続いた大雨が一気に止んで泥が流れない状態になってしまったことにより、予想を越えて、それも一度に何カ所も走行困難な箇所が発生した。レース前には「雨が降っても不公平感がどうしても付いて回るコースショートカットは極力行わない。」という方針を打ち立てていたが、AAでも渋滞脱出が困難になる状況に至っての 2時間経過からは否応無しにショートカットの指示が出された。
ここからのレースは一方でテージャスを有名にしている「広島サバイバル」状態となり、テージャス経験の乏しい関東のライダーには過酷な展開となっていった。またショートカットの場合溜まっているライダーを優先的に排除してから行うことが原則だが、ヒルクライムに失敗した多くのライダーの逆走が危険を帯るまでになり、排除無しにショートカットをするしか選択肢が無いような状態に陥った箇所もあった。
レースの行方はこのサバイバル状態になった終盤で、混沌とし解らなくなっていった。が、しかしこんな状況でも全く動じず格の違いを示したのがケンジだった。小池田に 5周・6周とトップを奪われるも 7周目には奪回し、その後サバイバル状態になってからは各スタックセクションで悩む小池田を尻目に経験値の違いを見せつけた。そして終わってみれば小池田をラップするという快挙で見事復帰優勝を飾り、ケンジの復帰を心から願ってきた多くのファンに迎えられていった。
後日談で小池田は、「スリッピーなアップヒルでのケンジさんの鮮やかなマシンコントロールに目を見張った!」と賛辞を贈っていたが、それ以前に1年間ブランクがあるケンジが、今回の復帰戦に向けてフィジカルトレーニングで体を絞ってきた事を評価すべきであろう。ブランクでレース勘は多少落ちていたかもしれないが、体力勝負ともなった終盤で息が上がっていた小池田(他の多くのライダーも同様)と比較して、ケンジは明らかに気力と体力で余裕があったように見受けられた。
ただ、ひょっとして二人にとって今回も昨年のアルバトロス同様に真の決着はついていない感が残っているかもしれないが、次回ジョニエル-G 大町大会ではきっと素晴らしい攻めぎ合いの末、きっと何らかの決着がつくだろう。
一方レースの主役は二人だけではない。GNCCとパンゲアでの果敢な走りで活躍した まちゃは今回も注目され、それに応えるような素晴らしい走りを見せていた。2周目に石井を交わし3位に上がると 3・4周はトップ二人に次ぐラップタイムを叩き石井を離していった。しかし、ちょうど2時間経過後コースコンデションが一変してからはその攻めの気持ちが災いしたか? スタックセクションではトップ2に比べると冷静さに欠けているように見え、そのせいか否かは解らないが? 2時間まで堂々の3位を走行しながらも、エンジンブローで本当に惜しいリタイヤとなった。
また石井正美も結果的にはマディコンデエションに沈んだ形になってしまったが、それでもそれまではスピード感溢れる本来の石井らしいライディングを見せ、GNCC帰りで疲れていた(?)パンゲアとは明らかに違う走りだった。また今回何カ所も続くようになってしまったスタックセクションに体力を奪われながらも最後の最後 3時間直前まで 6位をキープしたことは、結果には残らないが多くのライダーに知ってほしい事だ。(ラスト周は本当にどうしようもなかったんだろうと思う)
そしてユウタロウ。最後尾あたりから一気に3位まで上げてきたユウタロウに注目したが、何と5周目にハマってしまい大叩きをしてしまった。あのユウタロウでもハマるのか? と思われるかもしれないが、今回のテージャスマディは「チビテク」を持ってしても強敵だったという事か? しかし海外遠征経験を多く積んできたユウタロウはここ1〜2年で明らかに進化を遂げており、定評あるテクニックに切れとスピードが付いてきた。最近はスタートの失敗が目立つが、それでも1〜2周でトップグループに戻ってくるスピードは、近いうちにきっと素晴らしい結果をもたらすだろう。

トップ2に続き堂々の3位に輝いたのはイシゲこと池田智泰だ。2周目11位と周囲の期待を裏切ったかのように見えたが、その後 10・8・7・4位と毎周確実に上げてきて、ちょうど2時間で3位に立つと兄イケチューに一度は交わされるものの、再び奪還しそのままゴールとなった。イシゲの今季活躍は予想されていたことだが、このビッグディアの活躍も先のSUGO-2デイズの活躍も幸運のなせるものではなく、明らかに実力が反映した結果だろう。
今まではポテンシャルがありながらもマシンに問題を抱え今一乗り切れていなかったが、TAMITONレーシングのエースとして迎えられKENZパワーで足回りを固めてからはマシンや体制に信頼性が増し、これからもどんどん結果を出していくだろう。そしてライバル達にとっての本当の脅威は、イシゲが自信を積み重ねていった時の事だろう。風貌に似ず謙虚なところがあるので、高成績を上げても「今回は出来過ぎ!」何て言っているが、その高成績をあたりまえだと思えてくると、更に強いイシゲが誕生すると思う。
昨年のエルニド本栖では予告優勝と同様な事をやってのけたイシゲ、聞くところによると次回 ジョニエル-G大町 と エルニド池の平 では秘めたる決意があるそうだ。当然トップ2も標的に入っているだろうから、大いに期待したい。
そして今回イシゲの活躍以上に注目されたのは、兄イケチューこと池田忠夫選手だ。ここ4〜5年は相次ぐ怪我によりもう過去の人と思っていたライダーも多かったと思うが、オールスターが揃うJNCCで4位入賞という鮮やかな復活劇を見せつけられたら、これはもう現在のトップライダーとして認めないわけにはいかないだろう。(それもパンクをして途中ホイル交換をしながらの4位だ)
レースにタラレバは無いが、もしイケチューにパンクがなければイシゲはまず負けていたと思う。イケチューのマディーの走りは特に定評があり、今回もサバイバルと化した 7・8 周目にはケンジ・原田に次ぐ2位のラップタイムを叩きだし、ケンジを追いかけピタッと離れず走行するシーンも度々見られた。このイケチューは今後全戦エントリーになるというから、穏やかではないライダーも多いだろう。マディのスペシャリストと言えば澤木も定評があるので、イケチューと澤木の対決も是非見てみたいものだ。
(九州の雄 原田健司、マディの8周目に周最速ラップを2トップから奪い取り 6位入賞を果たす!)
今回のビッグディア広島は、結果的にラスト2周が成績に大きく影響し明暗が分かれることになった。サバイバルレースへの切替が出来ずに沈んだライダー、反対に水を得た魚のように蘇ったライダー等いろいろだったが、そういった意味ではクロスカントリーの要素が濃密に味わえたレースとなった。
ただ役員コース長の好判断でラスト1周の掲示は1周は早く出されたものの、結果論からすればもう少し早めのレース短縮があっても良かったかもしれない。また終盤になってから最終周がカウントされるチェッカー時間が30分から60分に変更されたが、これは少なくとももう15分早く通達されるべきだった。
このように今回のビッグディアではJNCC自身がテージャスというコースの特異性をまざまざと見せつけられ、数カ所同時に発生したスタックポイントでの対処の遅れなど翻弄される場面がありましたが、一方で貴重な経験が出来たとも思っています。来年の開催では今回の教訓をしっかり生かす決意でいますので、西日本を代表するこの比類無いテージャスで行われるビッグディアをどうぞまた期待して下さい。
追伸:JNCCは基本理念として「ライダー主体のクロスカントリーレースを創造する」としています。よって多くのライダーに納得していただくレースにしなければと常日頃から意識していますが、今回のようなサバイバルレースになるとライダーのニーズは様々になり、その対応方針を打出すのに困難な状況が想定されます。また別件でGNCCに参戦したライダーからは、「渋滞の少ない実践的なGNCCスタイルのコース設営を導入してほしい」との声も上がっています。そこでJNCCはこれらの問題やニーズを前向きに解決するために JNCC選手会の発足を提案し、その選手会と共にライダー主体のレース創りをして行きたいと思っています。またこの選手会から派遣された視察ライダーに大会前日コース試走を行っていただき、コースの安全性や雨天下においての対応法などをJNCCと共に協議してほしいとも思っています。JNCC選手会については、後日詳しく紹介させていただきますので、宜しくお願いいたします。

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