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    更新日 2010-06-28 | 作成日 2008-01-24

    R3 ジョニエル津南 レポート by  JNCC 星野正美

    Prelude

     梅雨狭間の美しい津南、このリゾート地にR2- アルバトロス富山の熱気をそのまま移したような総勢224台が集結。晴天の元、各クラス共に素晴らしい競い合いが繰り広げられた。今エンデューロ界が注目する2トップの雄である鈴木健二は仕事の都合で惜しい欠場となったが、もう一方の雄 DAN racingの 小池田猛は手親指の負傷を押して参戦して来た。まだ腫れの残る指で行けるところまで行くということだったが、サポートにつくチーム代表の村尾氏はアリーナサイドクリニックの整形外科医なので、不安の残る状況下にあっても万全を期しての出場であろう。そしてこのR3- ジョニエルには嬉しい顔も集結してくれた。創成期から90年代までのエンデューロ第一次黄金期を石井正美と共に支えてきたウィリー松浦、長いMXワークスライダーのキャリアだけではなくMTBダウンヒルライダーとして世界にも名を馳せた"カミカゼ"伊田井佐夫、そして腰痛に悩まされしばらくエンデューロから遠ざかっていた我らがトモさんこと吉原朋正 など、開会式では小池田がタジタジになるような面々だった。

     ジョニエルの舞台となるこの津南エンデューロコースは、雨が降れば超テクニカルマディとなり晴れればホコリになるという極端な二面性を持つが、今回はマディの舞台を用意しようと梅雨期にスケジュールしたにもかかわらず、連日の好天で乾ききってしまった。諄いようだが、降れば難所だらけのレースになるはずだったのに、、、、。

    8jel_猛_cvr.jpg☆ 全画像 クリックで拡大!

    FUN-GP

     第1レースとなるFUN-GPの出走台数は104台。マーシャルMoveローリングスタートでは元気なBクラスライダーがマーシャルを飲み込みそうな勢いだったが、2周にフリーレースとなるとやっぱり飛び出したのは SAライダーだ。このクラスは今年からの新設で往年の名ライダーや長期ブランクや負傷の為現役を退いたAA & Aライダーなどで、Bクラスライダーもかなり速いのだがやはり少々格が違うようだ。所々でホコリが舞い上がるが、それでもリゾート地 人造湖の周囲にレイアウトされたエンデューロコースは爽快で非日常的、否応無しにレースモードは高まっていった。ウィリー松浦がキャブトラブルで早々戦線離脱する中、レースをリードするのは長年にわたり長野のエンデューロ界を支えてきた 丸山靖。2周目には大会最速ラップ(8分40秒)を叩きその後 6周まで連続5周にわたり周最速ラップを奪い後半に入るが、7周目 それまで丸山に何とか離されず虎視眈々と勝機を伺っていた SA- 堀浩二が周最速ラップを取ると、8周目には丸山を交わし今度は堀が連続して 7〜11周までの周最速ラップを奪い、そのままチェッカーを受けレースを制した。

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     エンデューロ普及のため、今年JNCCが一押しする入門クラス「オールインワン」と「4stスモール」ライダーも果敢に走ったFUNGPでは各クラス共に様々な競り合いを魅せたが、特に観客の目を引くほどの緊張感を見せたのがBクラスだった。最近実力をつけてきた 福尾正樹が序盤の転倒をものとせず3周目にトップに立った。もちろん走りは素晴らしく誰もがこのまま初優勝か?と思ったが後半に入るとどうも挙動がおかしい、アクセルトラブルか?何ともやりきれないライディングで順位を落としていった。ここで気を吐いたのが常連のベテラン神田隆博だ。7周目にはこれまでのJNCCで初トップを走行し仲間を沸かせたが本人はトップ走行に気づいておらず、混戦の中4位まで順位を落としてしまった。それでもBクラスという激戦区で堂々としたものだった。Bクラス優勝は 大石紀伸。R2- アルバトロスでもSA格の福森を追いつめながら惜しくも優勝を逃したが、今回は見事その雪辱を果たした。今後Bクラスを牽引していくライダーになるだろうが、上げてきた福尾との再戦が楽しみだ。ウィメンズはWAの 岩崎かよが唯一10周をカウントし実力を示し、小西美由紀が嬉しい2位入賞を果たした。

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    COMP-GP

     エンデューロ会場の前夜は深夜まで飲み会が続くことが珍しくないが、全国から200台を超すライダーが集結しているのにもかかわらず前夜10時を回ると静かになってしまうのがJNCC会場だ。そしてそのライダー達の静かに熱い闘志は、第2レースとなるCOMPGPにフォーカスされ一気に解き放たれる。恒例のAA紹介を経てスタートラインに着くライダー達、輝くような陽光の下 日よけのパラソルやサポートが控える様子にAAライダーのオーラが倍増されボルテージが上がっていく、、、。 改めて思うとここ数年でエンデューロは本当に成長したものだ。5年前だったらトップライダーでも上下で異なるブランドのウェアを着ていたりMX-IAライダーが来ると余裕で遊ばれてしまったものだが、今ではそれは過去の話。AAライダーはエンデューロに大きなプライドを持ち、IAライダーだってまず勝てやしない。

     11時35分、全国のエンデューロファンが注目するCOMPGP- AAがスタート! ホールショットは #4- 澤木、そしてインから #1- 石井と#3- まちゃが良い位置に着く。注目の小池田は10番手位か? 総勢23台の日本を代表する精鋭達が凄まじい衝撃を放ちながら第2コーナーからジュラシックパークへと視界の外に消えていった。 ホコリの収まりを待って、A、CBクラスがスタート。Aのホールショットは今年からJNCC参戦を開始した 小野真昇、覇気溢れる若武者のような走りが魅力だ。

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     昨年から解禁された人造湖 周遊道路からの観戦は好評で、観客は思い思いの場所を陣取り観戦モードに入る。いつもながら長い長いファーストラップ、はたしてトップは誰だ? そして、出遅れた小池田はどうなんだろうか? 見晴らしが抜群のジョニエル津南、MCの川辺が遥か彼方の砂塵を見つけトップライダーの帰還を伝えるがまだ誰かは解らない。それにしても後続が来ないぞ!、ファーストラップからしてかなりブッチぎっているんだ。そして、ライダーは、、、、、タ、タケシだ、小池田だ!。 速い、やはりジョニエルでも別格か? スタートは遅れたはずだけど、もうまるで一人旅のようだ。ただ会場の全ての目が注がれる中、その挙動が本部近くにいた観客にも解るようになるくらい近づいた小池田にR2- アルバトロスで見せた激しさは感じられず、初めてのコースをじっくりと確認しながら走っているようだ。そして、この頃になってやっと2位のライダーが遠方に現れた。澤木だ、そして少し離れて3位は石井。1周目の周回ラップは 小池田(13分12秒)、澤木(13分36秒)、石井(13分41秒)、トップと2位の差は24秒だった。そして4位 #8- 平林、5位は #-5 内山ヤスオミと続き、昨年石井とゴール直前までデットヒートを繰り広げた まちゃは転倒したのだろうか?10番以降と出遅れる。周囲からは石井との再戦を期待されていただけに観客としてはこのポジションにちょっとガッガリか、でもこの後の展開に期待したい。

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     2周目トップ小池田は変わらずだが 2位は1分遅れでチャンプ石井、やはり順当に上げてきた。石井の凄さは色々言われてきたが、なんと言っても今は AAクラスの尺度、すなわち「日本クロスカントリーの 絶対尺度」になっている事が凄い。様々ないかなるコースであってもそのスピードと技が褪せる事は無く、常にトップグループの一員としてレースを創っていく。こんなまねは誰だって出来はしない。よって他のライダーは石井に近づければ近づくほど好成績となり、もし抜く事が出来ればそのままそれが大金星となる。石井のマシントラブルを除けば過去には澤木一人だけが一度その金星を上げているが(健二と猛の2トップは除き)、今でもたったそれだけなのである。3位は僅差で澤木。R2- アルバでは良いところが無く終えてしまったが、それを引きずらないのが '07チャンプの澤木だ。けっして得意ではないこのジョニエルだが、トップグループの一員として果敢に攻めている。そして澤木の背後にはヤスオミが上がってきた!。AAルーキーとして大活躍した昨年から一転し今季はこれまで低迷していたヤスオミだが、乗り換えたハスキーに慣れてきたか? 今日は悲壮感が無く、ノリノリのライディングが戻ってきた。

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     3周目、2位石井の背後に澤木を交わしてきたヤスオミが迫った。スランプから一転し石井の壁を崩そうかとするような走りのヤスオミに会場はザワつき、両陣営に緊張が走る。4周目には石井を交わすのか?と予感させるほどのヤスオミの走りであったが、石井の本領はこれから見せつけられる事になる。なんと 4、5、6、7、8 周と迫るのだが抜けない、、、どうしても抜けない。そしてこの頃後続ではやはり まちゃが上がってきた。1周目の遅れはやはり転倒で、その後は石井と遜色無いラップタイムで追い上げ 5周目には早くも澤木の背後に迫る 6位にまで上げてきた。

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     この頃トップを行く小池田は、親指のせいかクルージングとも言えそうな安全運転に見えたが、それでもパドックに隣接された「ジョニエル ビーム」ジャンプでは度肝を抜くスーパージャンプを披露しファンを飽きさせない。(本当に形容のしようがない程の迫力と大きさで、写真撮影者の予測した位置からはみ出しそうになっている!) この小池田のアルバトロス、ジョニエルの走りを見て認識したことは、エンデューロでの速さは「単に際立ったスピードのあるMXライダーであるという理由では決してない。」ということだった。小池田といえばスーパークロスのイメージも有り何よりも豪快さが先に立ってしまうが、その本質は卓越した様々なテクニックを持つライダーで、言い換えればスピードを持った凄いテクニシャンなのである。この点が他のエンデューロ参戦をしている IAライダーとの相違であり、一緒くたには出来ない点である。今回もMX場にあるスリッピーな逆バンで見せたマシンコントロールと彼一人だけの際立ったコース取りは、本来エンデューロライダーが得意としなければならないものであり、それをMX仕様のYZ450Fを駆る小池田にやられては結果は見えていた。

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     この頃Aクラスでは、昨年もAAと見間違えるほどの走りを見せラスト1周で力つきるまで独走した #05- 得地孝一が今年も別格の走りを見せ、後半に入る8周目では昇格を掛ける 2位 #01- 物江信義に1分以上の差をつけ突き放す。ただ面白いのは2位争いで、9周目にはこちらも昇格狙いの新鋭 小野が物江を交わし2位に上がると、2台はもつれるように互いを意識し終盤の辛いデットヒートを開始した。AAでは今季本来の力を示しJNCC立役者の一人として活躍してきたユウタロウが調整の失敗か? 軽い熱中症のような状態になり集中力を欠いてしまう。彼にしては信じられない転倒を幾度も繰り返し沈んでいった。また健闘の澤木であったが、何と中盤からリアのスポークトラブルに見回れ結局リタイヤ。トップランカーとしては貴重なレースを落としてしまった。

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     そして追上げが期待された まちゃも今日は出入りの激しいレースになり、 澤木をパスしようとして再び転倒。これで石井との対決は持ち越しとなってしまった。本人としては周囲からの期待も有り早く結果が欲しいところだが、ここは焦らずじっくり行くべきであろう。ただ結果が付いて来ないものの まちゃのライディングは確実に進歩しているようだ。今季450から250にスウィッチしてからはパワー不足によるデメリットを強く感じていたようだが、ここに来て徐々にではあるが250のライディングが開花してきた。レース写真を見てみても今はリーンウィズのコーナリングが多くなってきており、これは明らかにコーナリングスピードが上がってきた証明である。今はまだ不慣れな250でイージーな転倒があるが、これが修まってくれば一気に弾けるかもしれない。今大会 小池田以外に唯一人 周最速ラップを唯一奪ったスピードは、それを指し示すものとみて狂いはないだろう。

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     3時間10分31秒、小池田に優勝のチェッカーフラッグが振り下ろされた。正にこのジョニエル津南を支配した優勝であった。しかし、結果が見えていた小池田よりも注目されたのが 2位の行方だった。なんとその後も石井を捕らえきれないヤスオミであったが、終盤も終盤、 13周目 2位で戻ってきたのはヤスオミ だった。この逆転により会場は騒然となり、正に昨年の 石井とまちゃの死闘を見るような終盤のクライマックスにMC川辺が言葉を失う。しかしこの サウンド オブ サイレントがかえって人々の高まりを増長するようで、会場は静かに、そして異様な空気に包まれていった。 でもぼう然としていたのはつかの間、 3位で戻ってきた石井はそのままピットインし、にわかに慌ただしくなった。どうやらコンデションが良すぎるコースでガソリン消費の予測が狂ったらしい。 これでヤスオミの 2位はほぼ決定、でもヤスはピットインを知らないから、今 石井の陰に怯えながらも必死で走っているに違いない。こうなったら何が何でもヤスオミに 2位になってもらわなくては治まらない「絶対にイージーミスなんかはするなよ!」という気持ちが支配する会場に、長い長い最終ラップを終え飛び込んできたヤスオミは戸惑い気味に見えたが、大銀星(2位だから)の実感はこれから湧いてくるのだろう。低迷していた男が自身を信じ奇跡に近いことをやってのけた。こんな感動があるだろうか! まちゃ、澤木、ユウタロウ ならある程度想定内だったが、ビッグディアで19位、アルバトロスで 9位のヤスオミの快挙を誰が予想出来たであろうか? その性格と体型で誰からも愛されるヤスオミ、驚くほどの意外性とポテンシャルを秘めた素晴らしいライダーである。

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     Aクラス優勝は圧倒した得地、そして逆転劇はAAだけではなかった。AA昇格を掛け火花を散らす物江と小野だが、何と9周目に3位に落ちた物江が最後の最後、ゴール直前の丸太セクションで起死回生のスーパージャンプに賭けた。そしてこの物江のスーパージャンプが功を奏し、なんと小野が転倒し 2位の座を明け渡してしまったのだ。なぜ物江がここまで2位にこだわったか、それには大きな理由があった。JNCC-AAクラスの昇格条件はAクラス上位3人となっているが、一方で 2位以上の成績を上げていなければならないという厳格な条件が課されている。よってランキングがたとえ1位でも2位以上の成績がなくては昇格が出来ない事になる。ジョニエルまでの時点でランキング3位で2位入賞を果たした物江に対し、小野はランキングこそ2位につけるが未だ2位以上入賞を果たせていない。ランキング上は有利ではあるが、残り2戦が未体験のエルニド本栖と誰が出てくるか解らないAAGPではプレッシャーも大きいであろう。そういった意味で、物江はこのジョニエルで値千金の2位を手中にしたことになったのだ。

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     ジョニエルには欠かせないトモさんの ルーキーAAを戦慄させる元気な走りなど、各クラスに渡り他にも様々なドラマが繰り広げられた R3- ジョニエル津南であったが、やはり全体的に小池田参戦がかなり刺激になっている印象を受けた。チームメイトの #9- 松尾ヒデは早くも小池田効果か? 怪我からの復帰戦にもかかわらず伸び伸びとした走りで念願の6位以内入賞を果たした。一方でヤスオミの快挙は若手ライダーのやる気に火を付けたであろう。石井を超えたい若手、それを絶対尺度で頑強な蓋をするように押さえつけるチャンプ石井。ライダーの意識は既に R4- エルニド本栖に飛んでいるだろうが、エルニドも感動に満ちた素晴らしい大会になることに違いない。

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