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    更新日 2010-06-28 | 作成日 2008-01-24

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    08 R2 アルバトロス富山- YouTubu 予告動画!
     

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    (6/18 発売 90分/16:9/¥2,980)


    08 R2 アルバトロス富山 レポート! by westendfilms 黒田まさみ

    「楽しむために走る」レース前日、何を求めてJNCCを走るのか? との問いに、何でそんなあたりまえのことを聞くんだ、と困惑した表情で小池田猛は応えた。2005年全日本モトクロスIA1クラスシリーズチャンピオンであり、頸椎のケガのためシーズンのほとんどを欠場した昨年までヤマハファクトリーライダーとして日本国内でのモトクロスキャリアを積んできた小池田にとってレースとしてのエンデューロはAAGP以外に皆無であったが、今年はモトクロスシーズン前に渡米しGNCC 2大会に参戦してきた。そして今回のJNCC第2戦以降の五大会にエントリーする。今年からプライベーターとなったとはいえ、ヤマハ契約のプロフェッショナルモトクロスライダーとして、あくまでモトクロスレースのかたわらの参戦であり、本業のために楽しみながら戦う身体を取り戻していくことがその真の目的だ。ゆえに450のパワーを活かしたスタートは見事なホールショットで、ただ一人クリアな視界を確保したままモトクロスセクションを抜けていく。

    一方スタートは小池田と相談する、と言いながらもすでに恒例となった最後尾からのハンディキャップスタートではなく久々のガチンコ勝負を挑まれる鈴木健二は、やや複雑な心境かもしれない。エンデューロライダーとして相手にとって不足は無いどころか、実力を十分知っているだけに100%で走っても勝てるとは限らない。しかし本業のヤマハワークスモトクロスチーム監督としては、ヤマハ契約ライダーのである小池田に第五戦まで2週おきのタイトスケジュールの中、本業に影響が残るようなケガをさせるわけにはいかない。しかしチームを離れプライベーターとなった今、小池田自身の判断が優先されるべき…。しかし、スターティングフラッグが振り下ろされた瞬間、鈴木に迷いはなかった。やや出遅れたものの煙幕のように巻き上がる土埃の中を抜け出し、遙か彼方を先行する小池田を追撃する。

    そして前週の全日本モトクロスSUGO大会会場にも姿を見せたディフェンディングチャンピオン石井正美は、一通り今年の全日本モトクロスについて歓談した後「負けるために走るわけではない」と、小池田、鈴木とのスピードの違いを十分認めた上でチャンピオンとしての、いや男の誇りをかけて勝つための希望とチャンスを捨てないことを明言した。たとえどんなに速いラップを刻んでも3時間+αを走りきってチェッカーを受けなければリザルトは残らない。相手のミスに乗じて結果を残していくためにも自滅は絶対に許されず、自分のベストを尽くすことに集中してあわよくば漁夫の利を得るポジションをキープすることがほとんど唯一の勝算といえた。

    レーサーの本能のままに全力でプッシュする小池田と鈴木、そして“敵を知り己を知る”石井の三人はレース序盤からバックマーカーを量産していく。中盤ペースが落ちた小池田を鈴木がパスし差を広げるが、給油後は小池田がコースに慣れたか?反対に周ベストラップを立て続けに奪い鈴木を追いつめ、ピットイン時に給油に加えてエアクリーナーを交換する間に再度逆転。そして終盤には疲れの見えた小池田にまた鈴木が詰め寄るという観客にはたまらないシーソーゲームを展開した。

    小池田の参戦は予想通りのハイスピード化を招き、果たして勝負はラスト2周で鈴木にクラッチトラブルが発生するという意外な結末で幕を閉じた。

    健二と猛の "2Top" レポート!
    8alb_猛.jpg*台風の目となり優勝を果たした "小池田 猛"
     ゴールしたマシンは2台ともハンドガードがぶら下がり、健二のマシンは大きなサイレンサーも曲がっている。正に日本エンデューロ史上に残るであろう死闘であり、日本エンデューロ界では敵なしの鈴木健二が GNCC帰りの小池田猛を迎え、日本エンデューロ界第一人者のプライドを賭け、小池田の前に立ちはだかったレースであった。

     GNCCに参戦したとはいえ、他にはAAGPしかエンデューロの経験が無い猛が ガレ有り本格ウッズ有りのアルバをまともに走れるか否かを懸念する声もあったが、スタートで飛び出した猛は19インチMX仕様のYZ450Fを駆り、MXと違い公式練習の無いバージンコースを果敢に攻め一気に独走体制を築くかに見えた。しかしパワー差による小池田からのスタート遅れを20秒弱に収めた健二がその差を保ち、3周目からは僅かづつではあるが凄まじいライディングで追上げに転じた。3、4、5 周 と周最速ラップを奪い確実に猛に迫った健二にプレッシャーを感じたか? 1時間経過の6周目、猛が痛恨のエンストで健二に先行される。当初から猛の場合ストールしやすいYZ450Fのエンストと戦わなければならないという条件を課され、3回以上エンストしたら勝ちは無いと予想していたが、このような重大な局面でエンストしたことで平常心が揺らいだか? その後スリップダウンを繰返し健二に差を広げられてしまう。一方の勝負師健二は猛の乱れに乗じて一気に勝負に出で、猛の戦意を喪失させるかのようにこの周は大会最速ラップとなる 12分15秒を叩き出し疾走した。

     8周目 猛がガス補給でピットイン、ここで気分転換が出来たか? あるいは先行する健二の速いラインを知り得たか? 9周目には猛に鋭さと安定性が甦り、更にはここで周最速ラップを初めて奪い、序盤とは反対に健二を追いつめる展開が始まった。一方の健二は賭けた勝負が裏目に出たか? 差をつけたいこの局面のウッズで転倒、この周ガス補給をしたこともあり猛に逆転を許してしまった。

     コースにも慣れ本来の調子を取戻した猛は 9、10、11周と連続して周最速ラップを奪い健二との差を快調に広げるが、2時間半経過の12周目位からは徐々に疲労によるガマンの走りに変わっていった。11周の時点ではかなり差がついたように見えた2台であったが、2台ともスピードが尋常ではないのでタイム差は30秒弱とそう大きなわけではなく、まだまだ勝負の行方は解らなかった。

     疲れがピークに達したか? トップの猛にミスが目立ち12周のラップは健二が奪った。(この時点2台の差は20秒だが距離はまだかなり離れているように見えた) そして13周目、なんとこの大詰めで猛がこのレース5回目となるエンストを起こし、それもなかなか再スタートが出来ない。この時点で猛は「もうやられた!」と思ったが(後日談)、勝利の女神は気まぐれで何と健二のマシンは不調になりペースダウンとなってしまった、、、、。

     こうして日本中のエンデューロファンが注目した2人の戦いは幕を閉じたが、鳥肌が立ちっぱなしで時間を忘れる程のこのレースにおいて、競合いでの抜きつ抜かれつが一度も無かった事が面白い(?)。健二がトップに出たのは猛のエンスト中であり、猛がトップに出たのは健二のピットイン中であった。故に当然2人の気持ちの中ではキッチリ勝負がついたとは思っていないわけであり、この勝負はジョニエル津南で決着をつけることになるだろう。個人的に欲を言えば、健二は時々WR250Fで参戦し、猛はもっとエンスト リスクの少ないマシンで参戦して欲しいが、それはきっと今年のAAGPで実現するだろう。

     3位の石井を除き 117台を全員ラップというこの2人の死闘は正に世界レベルの走りであり、会場全体を興奮の渦に包み込み観る者全てを巻き込んでいった。そして、この相手を意識しながらの競合いこそがクロスカントリーエンデューロの醍醐味であり、観客は大きな感動をしっかり記憶に刻んだことであろう。小池田のエンデューロ本格参入は単に一人の実力有るライダーが加わったというだけではなく、若手ライダーに目標を与えエンデューロ界のレベル向上を促進し、そして何よりも大きいのは 華麗でスマートが身上の健二に火をつけ、凄まじい健二に変えた事であろう。まちゃもイシゲも今回のレースでは得る物が大きかったと聞いた。これからは何度もこういった感動のレースが繰り返され、そうすれば近年エンデューロの観客動員数は確実に増えていくと思う。そういった意味では、今回のアルバトロスはエンデューロが大衆の受け皿を持った記念すべき日になりました。今回のアルバトロスを観戦出来た方達は本当に幸せだったと思います。次回はジョニエル津南ですが、健二、猛の 2トップは勿論のこと 様々な感動のレースが展開されると思います。どうぞ期待して下さい。

    8alb_ケンジ-26.jpg*アルバクライムをオーバーレヴで飛び上がる "鈴木健二"!