08開幕ビッグディア- YouTubu動画!
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08 開幕ビッグディア レポート! by westendfilms 黒田まさみ
prelude
ゆるやかな起伏を繰り返す中国山地の広島県安芸高田市甲田町にある牧場、テージャスランチが今回の会場。意外にも海抜380m付近とそれほどの高度はないものの大会前日から晴天に恵まれたため、放射冷却により夜明け間近の朝六時の気温は2℃。テントの夜露も凍っていた。しかし日が昇るにつれて気温も上昇しCOMP-GPスタート前には20℃まであがり、湿度16%の乾いた心地よい風が2008年のキックオフを告げた。
今期のJNCCには二つの変化がある。一つはKTM JAPANの協賛によるKTMカップの創設と、もう一方は初心者を対象に幅広いユーザー層にライダーとして参加し、ギャラリーとしても楽しんでもらうことをテーマとした「誰でもレーシング」2クラス“オールインワン(AI)”と“4stスモール(4S)”の導入だ。KTMカップはKTMユーザー上位の選手に本表彰とは別枠で各大会毎とシリーズランキングで賞金と副賞を授与するというものだが、さらにKTM JAPANは今大会を含めて4大会でプロモーションブースとレーシングサービスを展開する、という日本のエンデューロ史上初の試みが行われる。今回、今期よりHONDAからKTMにスイッチした地元広島のモトクロスレーシングチーム「うず潮レーシング福山」から国際A級モトクロスライダー池田孝広がスポット参戦した。本格的なエンデューロレースは初めてというものの、昨年のAAGPで小池田猛が証明した現役モトクロスIA1ライダーのパフォーマンスには注目が集まった。
また、新規導入されたレース初心者対象のカテゴリー ”誰でもレーシング" の「オールインワン」と「4stスモール」には5名のエントリーが集まった。なかには往年の名車KDX200SRや、「スモールすぎるんじゃない?」と思わず心配してしまうような KLX110で参加するライダーもおり、 ”誰でもレーシング" の幅広い層からのエントラントの掘り起こしという目的は一応順調にスタートを切れたように思われる。
今シーズンの話題の一つは鈴木健二による公道市販車であるWR250Rの参戦だ。かつてDT200WRに代表されるレーサーレプリカトレールモデルを市場に送り出していたヤマハが久しぶりに放つWR-Rは昨年のISDEチリ大会において鈴木のライディングで世界デビューを果たしており、さらなるチューニングを施したプロダクションエンデューロレーサーとしてJNCCを走る。主な変更点はサイレンサーとデュアルコア化されたラジエーターだ。ISDEではシングルラジエーターでも十分なパフォーマンスと耐久性を発揮したが、一般ユーザーによるあらゆる環境での耐久性を考慮してサイレンサーと同様にレーシングキットとして市販することを前提とした実戦テストだ。
対する前年度のチャンピオン石井正美は300ccにボアアップした2stマシンGASGASEC250だ。50ccのスープアップは出力特性をマイルドにすることで長時間のレースでのアベレージスピードをキープすることに貢献しているという。 55歳のチャンピオンは「そろそろ、うかうかしてられなくなった」と昨年あまりしていなかった前日のコースの下見を実施し、フルエントリーする鈴木健二とヤングガンたちを迎え撃つ。ヤングガンズの筆頭小林雅裕が入社した会社の研修のため欠場したものの、昨年のAAGPスタート直後のクラッシュで全身打撲を負った澤木千敏が復帰、ウエアを SHIFTからUFOに替えた内山裕太郎もケガでランキングを大きく落とした昨年からの巻き返しを狙う。そして注目のルーキー、IAモトクロスライダー杉本高規はスズキからRM-Z450の提供を受けての参戦となり、昨年からエンデューロに転向した上田隼人も4stRM-Z250 を貸与され、噂される次期RMXをにらんだスズキの密かなヤル気が垣間見える。また内山泰臣、近藤有介を擁するチームレアルエキップがヤマハからハスクバーナにスイッチしており、大会サポートに加わったKTM JAPANとともにパドックの彩りがさらに増している。
FUNGP
安全を考慮してローリングスタートで開始されるFUN-GP。昨年は問題が無かったが、今年はトップを先導するマーシャルが激走してしまい、1台を除いて後続をブッチぎって戻って来てしまった。これをスタートラインで視認したオーガナイザーが、公平性が損なわれていると直ちにレースを中断させ再スタートとなった。この為進行はおよそ1時間遅れとなってしまったが、春の日の長さに救われ大事には至らなかった。しかしその後のスケジュールは非常にタイトになり、COMPGPライダーはフィニッシャーズロードに落着いて参加する余裕はなくなってしまったようだ。
再スタートとなったものの好天に恵まれ気温が上がってきたコースは見た目以上にトラクションが良く、COMPGPから難所セクションの殆どをカットしてライディングの楽しさを打出したレースはスムースに進行した。今期より新設されたオールインワンと4stスモールも同じコースで行われたが、本来はキッズ用モデルでありながら近年流行のミニモトのベースモデルとして人気が高いKLX110が大方の予想を裏切るパフォーマンスを見せており、JNCCは国内最高峰のXCエンデューロシリーズであると同時により多くのエントラントに門戸が開かれたイベントとして展開していくようだ。
COMPGP
昨年は全クラス横一線から一斉スタートという壮観な眺めが見られたが、安全性の確保とスムースなレース進行のためにクラス別スタートとなった。スタート直後の混戦から抜け出たのはAAクラス2年目の中島大三だったが、スタートで上位につけていた石井が最初の沼地をスムースにクリアしてリードを広げていくかに見えた。しかしベテランにしても開幕戦の緊張感から痛恨のミスにより後退すると同じく好スタートを切っていた内山裕太郎がトップに立つ。一方、圧倒的なスピードを持つ鈴木健二は自らハンディキャップを課してクラス最後尾からスタートしたものの、2周目には2位に付けていた澤木、3周目に内山を抜いてトップに立つとそのまま独走、とはいかず沼地でラインを迷っている間に挽回してきた石井にトップを一時明け渡すシーンも見られた。それでも大きなミスはその一度だけで転倒もなく180分を走り抜きWR250RにJNCCデビューウインをもたらした。
2位でチェッカーを受けた石井は、後半スピードアップした鈴木健二に合わせてスパートするものの疲れによりミスを重ね差をつけられてしまった。3位の澤木は復帰戦の気負いからか序盤から腕上がりを起こしてしまい、鈴木と石井のハイペースについて行けなかったものの、終盤には序盤の転倒によるシフトペダルの破損からポジションを挽回してきた内山裕太郎の追撃を振り切って表彰台を確保した。5位にはじりじりと順位を上げきたISDEチームジャパンの“顔”博田巌、6位は序盤から上位をキープしていた田中大介が入りKTMカップ最上位AAクラスの優勝賞金を獲得した。また中盤に沼でハマるまで6番手付近を走行したAAルーキー大河原潤は9位と健闘した。KTMを駆るだけに賞金がモチベーションを高めているのは明白で本人もそれを認めており、他のKTMユーザーからも同様の声が聞かれた。また同じくKTMでスポット参戦のモトクロスIA池田はあらゆるコンディションに対応しなければならないエンデューロ競技初体験ではあったが、随所に見せる巧さとスピードは長年IA1クラスで戦ってきただけに目を見張るものがあり、12位という今回のリザルト以上の存在感を示した。チームとしてモトクロスの他にスーパーモタードにも参戦しているためJNCCにはスポット参戦にとどまるが、GNCCに参戦した小池田猛のように本格的に取り組んでくるとけして侮れない存在になるだろう。その一方で辛酸をなめたのはフルエントリーする杉本高規だ。彼もまたオープンエリアでのレースは初体験であり、データのないニューマシンはインジェクションのセッティング以外はほとんどストックのままという状態で、トップから2周遅れの20位に終わった。しかし序盤はマシン作りとスキルアップに力を注いで後半戦に成果を出したいという目論見からすれば、今回の結果は大きな収穫へのアプローチと言っても良いだろう、今期の成長に期待したい。一方の上田隼人もマシンが2週間前に届いたばかりというぶっつけ本番で、またレース序盤にブレーキローターを壊すというトラブルに見舞われ結果としては不満が残る18位だが、内容としては切れの良い走りでかなりの追上げ劇を見せ、昨年のデビュー戦となったこのビッグディアとは大きく異なる成長ぶりをアピール出来た。
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