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- 48歳となった 渡辺学は、ますます強さに磨きをかけているかのようだ。ヤマハクロスカントリーモデルの訴求と市場開拓という目的を持ち国内クロスカントリーシーンを牽引してきた 鈴木健二は、渡辺にとってはモトクロス時代の監督であり先輩という存在だった。2012年から渡辺がJNCCに参戦を開始し、小池田猛も含めた元ヤマハワークスライダー達は JNCCという国内最大のクロスカントリー舞台で輝きを増し、アマチュアからモトクロスライダーを含む多くのライダーの指標道標となってきた。
- 渡辺が 小池田 鈴木という強力な壁を乗り越えて初めてタイトルを獲得したのが2014年。その翌年もタイトルを獲得したが、その後2年間は小池田が奪還。2018年から2020年までの3年間は渡辺がチャンピオンを獲得して最強王者として君臨したが、2021年2022年は当時若手ライダーであった 馬場大貴がタイトルを獲得。2024年、そして今季はハードエンデューロ経験を経てスキルアップした 矢野和都の存在も大きく、若手ライダーのレベルの底上げも感じていたであろう渡辺。しかし、それでもなお速さ上手さ、リスクマネージメントの面において渡辺を超えるライダーがいないのも事実だ。
- 前戦の セブンスヘブンKIJIMA ラウンドではライバルの矢野が不在の中、オーストラリアからスポット参戦中の ステファン・グランキストが参戦。グランキストに対しては実力的にも勝負を仕掛けられる渡辺だが、自分がやるべきことリスクを負わずに上位でフィニッシュすることを明確な目標として発言し、まさにその言葉通りのレース運びをしてみせたのが印象的だった。
- 本戦もスタート前には「今日の仕事はヘルカメを確実に交換することです」と淡々と話してくれた。雨の影響でドローンを飛ばせなくなる可能性があるため、ヘルカメによる公式動画の撮れ高を確実にするためにそうするのだという。下手に気負わず粛々と完走するのが一番。言葉でそう書くと簡単に聞こえるが、この日のレースは大雨の影響でハードエンデューロ的な過酷なコンディションであり、確実に上位で完走することも簡単なことではないはず。それでもしっかりと最終戦を待たずにタイトルをものにした渡辺は、やはり今季の王者に相応しいライダーだったと言えるだろう。
- レース開始早々に降り出した大雨の影響で、ダウンヒルセクションの「BB転がし」が危険な状況になり赤旗中断したが、そこからの運営手腕は素晴らしかった! 単純にコースショートカットしてレース再開するだけでは不公平が生じてしまいがちだが、縦列待機させて上位陣は直近計測時でのタイム差を正確に反映させて再スタート! これにより最後の最後まで目が離せないバトルが展開され、通常なら大味になりかねないレースが引き締まり、3時間クロスカントリーにおいて秒を争う素晴らしい勝負がリザルトに反映された。
- 前戦に続きグランキストが抜群のコントロールを見せて快勝した。グランキストは昨年の広島など日本の激しいマディレースを体験してはいるものの、今回は特にスムーズなコーナリングや加速を見せており、彼もまた「さらにスキルアップしたのではないか?」と思えるような見事な走りだった。
- そして今季覚醒した感のある 成田亮が、ライバルの小林雅裕との戦いを制して総合2位(国内1位)へ。「高井富士は苦手」と公言していた成田だが、さすが全日本モトクロスV12王者。彼のようなレジェンドでさえもJNCC参戦の中でいまだにスキルアップしているのだから面白い!
- もう1つ特筆したいのは、COMP-Bクラス優勝の 西村太一だ。14歳の西村は、モトクロスIAライダーなど猛者が大勢いる中で、なんと総合8位という快挙を成し遂げたのだ。将来が楽しみな若い世代がJNCCで誕生していることも実に嬉しい。
- ベテランも若手ライダーもどんどん実力を上げていることを実証した高井富士ラウンド。次戦はいよいよ最終戦の”AAGP八犬伝”、どんなドラマが待ち受けているのだろうか。


- どんなレース展開になろうとも粛々と上位でフィニッシュし、史上最多8度目のJNCCチャンピオンに輝いた渡辺学は、ゴール後に祝福のシャンペンを浴びた。


- 渡辺のレースを支える馬庭メカや家族達と喜びを分かち合う。表彰式ではチャンピオンTシャツを着て壇上に上がった。

- スタート前、リラックスした表情のナ・ジョンウンとステファン・グランキスト。


- AAライダーのスタート入場はファンとの触れ合いの瞬間でもある。多くの声援を浴びて選手達は戦いの舞台に立つ。

- 国際色豊かな大会となった本戦。オーストラリアや韓国、そして日本の国旗が会場でたなびいた。



- 「スタートで前に出て、序盤は『いつもの場所じゃない』と焦ったという小菅泰輝。しかし上位をキープし、過去最高位の5位に入ってみせた。


- スリッピーな路面に対する安定感が抜群だったグランキスト。ますます速く、上手くなっているのでないかと思える見事な走りで優勝。


- かつて全日本モトクロスやAMAモトクロス、スーパークロスのレインコンディションで大活躍した成田亮は、苦手だと公言していた高井富士で総合2位。まだまだ上昇しそう!


- この男もまたマディの申し子、小林雅裕。伝説の阿蘇での初優勝経験あり。極悪コンディションで真価を発揮するも3位という結果には残念そう。



- 14歳西村太一の勢いが止まらない。スタートから飛び出し、クラス優勝はもちろん、総合でも8位という大金星。


- スタート直後はベスコンだったBB転がしが、直後に降り出した大雨で転倒車続出。グランキストでさえ数回転んだという危険な状況となり、赤旗中断となった。

- ショートカット・レース再開による不公平を無くすため、
- 列待機させて上位陣は直近計測時でのタイム差を正確に反映させて再スタート! これにより最後の最後まで目が離せないバトルが展開され、通常なら大味になりかねないレースが引き締まり、3時間クロスカントリーにおいて "秒を争う素晴らしい勝負がリザルトに反映" された。

- 開幕戦の徳島県ビーチとは全く異なるマディを堪能したジョンウン。1周目ウッズでの立木激突による怪我を負いながら、確実な走りで総合14位でフィニッシュ!


- COMP-Aクラスはベテランの下濱吉継が勝利を飾った。2位の小沢瞬との差は5秒未満という大接戦!


- 「クロスカントリーをしに来たのにハードエンデューロをやりました(笑)」と、COMP-Rクラス優勝を果たした阿部雄大。さすがのハードEDスキルを見せつけた。
