"抜きん出たツートップ"  チャンプ学 が激闘を制す !!

  • JNCC 全日本クロスカントリー選手権 第6戦 田沢湖スキー場  COMP
    日時: 2025年7月20日(日曜)
    開催地:田沢湖スキー場
  • Reported by DAIGO MIYAZAKI

  • かつてホンダCRFでJNCC COMP-Aクラスタイトルを獲得した矢野和都(Rg3 Racing)は、その後KTMでCOMP-GPの渡辺学(BLU CRU TwisterRacing)や鈴木健二(BLU CRU Blue Riders with YAMALUBE)といった当時の2強ライダーに挑んだが、実力的にはどうしても叶わなかった。正直な書き方をしてしまうと、彼らに弄ばれていたとも言えるだろう。勢いだけでなく繊細なコントロール、卓越した技術、そして何よりもモトクロスIAライダーとして活躍していた彼らは、当時の矢野とは次元の違うところを走っていたのだと思う。これはその頃、筆者がダートスポーツ誌の同僚であった矢野と全戦遠征し間近に見て痛切に感じた本音だ。心情的に矢野の活躍を願っていたのは、当時身近にいた人間としての感情なので許して欲しいのだが、贔屓目に見たとしても矢野とトップ2との差は歴然としていたのだった。そのことは現在ハードエンデューロ、JNCCで何度も勝利を飾りトップ争いを展開している矢野本人が認めている。かつては何もわかっていなかったに等しい、と。しかし今は様々な知識があるのだという。GNCC遠征などの数々の舞台に立ち、積み重ねてきた経験も合わさり、実にしぶといライダーに成長した。他にもJNCCは出口隼飛や斉木達也など若い世代が元ワークスライダー相手に果敢に挑んだ歴史があるが、彼らが舞台から去っていく中で、ライダーとしての自分を高め続けてきた矢野は、ついに王者をも脅かす存在になったのだ。
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  • さて、今季は初のJNCC総合チャンピオンを狙う矢野と、史上最多7度のチャンピオンホルダー渡辺との白熱した戦いが続いている。開幕戦ノースショアトマホークはステファン·グランキスト、第2戦サザンハリケーンは馬場大貴に勝利を奪われるものの、その後はこの二人が勝利を分け合う形に。第3戦ビッグディアは矢野が今季初勝利、第4戦ビッグバードは得意とする渡辺が今季初優勝。そしてマディ地獄と化した前戦第5戦ワイルドボアはハードエンデューロライダー矢野が制した。2人のポイント差は6点と僅差のまま突入した第6戦田沢湖スキー場。
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  • 初開催となるこのゲレンデは、アクセル全開でかっ飛ばす上り坂や、ややガレた下り、キャンバー、ガレ場などが程よくミックスされたコース。特に「 ANIMALクライム 」と名付けられたヒルクライムは、かつての爺ヶ岳のガレクライムを彷彿させるが、登り切ったところにガレ場の渋滞ポイントが待ち構えているのだ。
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  • 二人は僅差のままオープニングラップを終え、周回遅れと渋滞が発生する2周めへ突入。ここで渡辺はリスクを回避する、やや迂回ラインをとるなど、ベテランらしい走り方を見せてくれた。矢野も転倒がありながらも渡辺に食らいついていったが、徐々にその差をコントロールされていく形になった。渡辺は矢野との差だけを気にしながら、得意なゲレンデでの走りで勝利を獲得。レースには直接関係ないが、渡辺は家の事情で金曜日に一度埼玉へ戻り、再び土曜日に会場入りをしている。チーム仲間のサポートもさることながら、渡辺のタフさ、したたかさもやはり筋金入りだなと、改めて感心する結果となった。これでタイトル争いの面では渡辺有利となったが、矢野も「残り全部勝てばいいと思うことにします」とまだ諦めていない。矢野はカワサキKX450XからKTM300XCにスイッチしたことがプラスになっているという。クロスカントリーに特化したマシンでの走りは注目したい。
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  • この二人と同一周回で完走したのは総合3位の熱田孝高(カワサキプラザ盛岡 RG3racing)、小林雅裕(ALPHATHREE)、中島敬則(BLU CRU レーシングチーム鷹)、渡辺敬太(Beta FULL GAS Racing & フレアライン)。次戦はこちらも初開催となるセブンスヘブンKIJIMA。現在3ヶ月の長いインターバルに入っている全日本モトクロストップライダーのスポット参戦もあれば、取材や観戦している側からすると楽しいのだが。ちょっと期待したい。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 


 

  • JNCCでは古くはスプラッシュ月山、またかつてのサザンハリケーンなど、時折コンクリートスタートが行われる。ダートに入った瞬間にテンションがMAXに上がるのだ。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

  • ANIMALクライムの登った向こう側に田沢湖という絶景。時にリスクを回避するラインを使ってこなしていく 渡辺 学 。
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  • クロスカントリー専用モデル300XCの感触に手応えを感じている 矢野和都 は2位を獲得。力強い走りを見せてくれた。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

 

  • 斜度自体は極端にきついわけではないが、上に上がるほどガレており、かつての爺ヶ岳「ガレクライム」に似た難しさがありそう。ライダーはそれどころではないが、向こうには美しい田沢湖が見えていて、実に「映える」。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • SHOWAのキットサスを装備し、KX450のセットアップもレースを追うごとに進んできた 熱田孝高 は、総合3位を獲得。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 総合4位は 小林雅裕 。無転倒での完走は本人曰く「完璧なレースでした」 。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 「レース時間は短い方がいいです(笑)」という 中島敬則 は総合5位。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 総合6位の 渡辺敬太 までが11周を走り切り完走した。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • COMP-Aライダーとして初優勝を飾ったのは 嶋岡虎汰朗(ハスクバーナショップ平田自動車)。大重と共に若手コンビがCOMP-Aを賑やかす。
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  • 舗装移動路を跨いだ対面にもコースが設定されたCOMP-GP。ベテランの 中島幸広(中鉄隊)はレジェンドクラスで見事完走。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • COMP-AA2クラスで激しいバトルを展開したのは 渡辺裕之(Beta FULL GAS Racing & フレアライン)と 松尾英之(FFF Racing with DIRTFREAK)。わずか2秒差で 松尾が6位、渡辺が7位フィニッシュ。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • COMP-Bクラスを制したのは今季活躍中の若手ライダー 西村太一(モトピット★ヒオキ with 林道単車会)。強敵の島田優を2番手に従えて優勝。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 真夏のシャンペンファイト。快晴の田沢湖スキー場に歓喜の飛沫が上がった!